Family Empowerment Scaleの開発と活用について

エンパワメントという概念は米国で1980年代、英国では1990年代より保健社会学分野において用いられてきた1)2)。家族エンパワメントは、家族自身が生活をコントロールし、他者と協働しながら障害児の養育をすすめていく力であり3)、Koren(1992)は地域で障害児を養育する家族のエンパワメントに関する概念枠組み(「家族の関係性のエンパワメント」「サービスシステムとの関係におけるエンパワメント」「コミュニティとの関わりにおけるエンパワメント」)を提示し、これを測定する尺度Family Empowerment Scale(FES)を開発した4)。FESは家族/サービスシステム/コミュニティの3領域34項目で構成され、高い信頼性・妥当性が検証された尺度であり、世界中のスタディで使用されている5)。涌水理恵らは、Korenから承諾を得てFES日本語版(J-FES)を開発し6)、日本で障害児を養育する家族のエンパワメント実態調査7)や当該家族のエンパワメント促進の手掛かりとなるであろう家族エンパワメントモデルの開発・検証8)を遂行してきた。

FES日本語版(下のAppendixをクリックしてください)は『涌水理恵ら. 障害児を養育する家族のエンパワメント測定尺度 Family Empowerment Scale(FES)日本語版の開発. 厚生の指標, 11, 33-41, 2010.』(左記出典)を引用していただければ、どなたでも使用していただくことが可能です。また、家族エンパワメントを知るためのヒントイラスト集(下の該当表紙をクリックしてください)もぜひご活用ください。

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1) 小田兼三, 杉本敏夫, 久田則夫, 編著. エンパワメント実践の理論と技法. 東京:中央法規, 1999.
2) 小川喜道. 障害者のエンパワーメント-イギリスの障害者福祉. 167-168, 東京:明石書店, 1998.
3) Segal SP, et al. Measuring empowerment in client-run self-help agencies. Community Mental Health Journal, 31, 215-27, 1995.
4) Koren PE, DeChillo N, & Friesen BJ. Measuring empowerment in families whose children have emotional disabilities: A brief questionnaire. Rehabilitation Psychology, 37, 305-321,1992.
5) Herbert RJ, Gagnon AJ, Rennick JE, & O’Loughlin JL. A systematic review of questionnaires measuring health-related empowerment. Research and theory for nursing practice, 23, 107-132, 2009.
6) 涌水理恵,ほか. 障害児を養育する家族のエンパワメント測定尺度 Family Empowerment Scale(FES)日本語版の開発. 厚生の指標, 11, 33-41, 2010.
7) 涌水理恵. 障害児を養育する家族のエンパワメントに関する実態調査―重症心身障害と発達障害 異なる2つの障害群での比較・検討―. 外来小児科,15, 25-30, 2012.
8) 涌水理恵、ほか.在宅重症心身障害児の家族エンパワメントに関する実証的モデルの構築. 小児保健研究, 77(5), pp.423-432. 2018.

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