小児科外来看護の質の向上に向けての取り組み
小児科外来(新生児から概ね中学校卒業程度までの小児を対象に診療を行う外来・クリニック)では、小児患者への診療やケア対応に関して、家族との間に“医療コンフリクト”が生じやすく、メディカルスタッフの中核として働く看護師は特にその対処に困難感を覚え、うつ状態や離職を引き起こしている実態もある。被害を受けた職員が起こったトラブルに対し怒りや困難感を感じつつも、“医療コンフリクト”の問題もしくは“自身の未熟な手技や対応”等による自己責任と捉えて我慢をし、誰にも相談せず抱え込む実態が報告されている(Gerberich et al, 2000;岩尾ら、2013)。
本取り組みでは小児科外来における小児・家族と医療従事者・関係者間の“医療コンフリクト”から生じる看護師の『困りごと』とそれへの予防策や対処法の実態(内容や傾向)を分析し、対応指針を協議の上策定し、指針に照らし合わせ外来看護実践能力強化のためのリモート学習支援/相談システムを開発・構築する。例として、「現状では予防接種で暴れる幼児を複数人員でタオル巻きにして注射している。やってみたいとは思うがプレパレーションの具体的なやり方がわからない」、「問題の多い家族から暴言を吐かれた時の対応がわからない」などの『困りごと』が挙げられた場合、各状況で必要な知識や取るべき対応についてまずツール内のオンライン自己学習コンテンツで習得できるようにし、さらに全国の看護師仲間と困りごとや予防/対処についてよろず相談ができるおしゃべりサロンも利用できるシステムの構築を目指す。看護師が『困りごと』なく看護実践を展開し、外来通院する小児・家族へのケアの質の向上に本研究が寄与することを最終目標とする。